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[Designer]

Claesson Koivisto Rune × Woodwork / sasimonokagu takahashi [Story1]
作りつづけること、使いつづけること

「いつ作られたのかではなく、どのように作られたか。作品の年代ではなく、その職人の技術に重きを置くという姿勢が素晴らしい」と語るのは、スウェーデンのストックホルムに拠点を置く、建築デザインスタジオ、Claesson Koivisto Rune(CKR)のファウンダーの一人、Ola Rune(ウラ ルーネ)。今回彼は、TOKYO CRAFT ROOMの第三回となるプロジェクトのデザイナーとして、作り手として参加する〈さしものかぐたかはし〉の高橋雄二のアトリエがある広島県熊野町を訪れた。

「日本のものづくりといえば、伊勢神宮の存在が真っ先に頭に浮かびます。昔からある技術を使い、20年ごとに建て替え、伝統を守り続けているということ」

CKRと日本の最初の接点は1994年に作られた彼らの作品”Villa Wabi”。日本の建築とデザインにフォーカスして作った家で、ストックホルム市内にある。それから20年以上の時を経て、彼らが手がけるものはホテルや家具など多岐にわたるがその間日本との関係は絶えず続いており、今回のTCRのプロジェクトでより深まることだろう。

「リサーチは仕事をする上で常におこなっていることです。CKRは3人でスタートして以来、25年間一緒に仕事をしてきましたが、私たちは皆いつも好奇心旺盛で、互いの考え方や視点にも興味を持ち続けています」

「他にはないやり方で、古くからある技術の可能性を引き出したい」という考えは、さしものかぐの高橋雄二と強く共感すること。高橋は家具づくりを勉強した後に「指物(さしもの)」に注目し、広島県の熊野町に現在の工房をもつまで、宮崎と京都で指物修行をしてきた。指物とは、木と木を組み合わせてつくる工藝品、またはその技術のこと。伝統的な木組みで頑丈なものを作ることだけでなく、修復し永く使われるために培われた技術と言われている。高橋はこの技術を現代の道具や素材、技術と組み合わせながら、未来に続く家具をデザインし、創り続けている。

このプロジェクトへの参加が決まって間も無く、ルーネは部屋のサイズ感や必要な物を把握するためにTOKYO CRAFT ROOMに宿泊した。そしてその時インプットしたものをベースに、高橋とどのような家具を作ることができるかを話し合った。「最初のミーティングで高橋さんから作品のサンプルを見せてもらった時、箱やお盆が、このような木組みの技術で作られているなんて信じられなかった」とルーネは笑顔で振り返った。

こうしてCKRとさしものかぐたかはしという今回の新しいコラボレーションがスタートした。お互いの特徴を分析しながらどんなことができるかを探り、理解していく中で、ルーネは高橋が持つ指物の技術の可能性、そして作品そのものに惹きつけられていった。この二人の会話がやがて、新しいものを作るという自信へと繋がっていったのだった。

「私たちは、今までにない新しいことを成すために、チャレンジし続けたい。そしてそれがどれほどのチャレンジだったかというプロセスを、完成した作品を見る人にも伝えたいと思っています」

>>Story2へ続く

Claesson Koivisto Rune

クラーソン・コイヴィスト・ルーネ

クラーソン・コイヴィスト・ルーネは1995年に、モーテン・クラーソン、エーロ・コイヴィスト、ウーラ・ルーネの3人によって設立されたスウェーデン・ストックホルムを拠点とするデザインスタジオ。

www.claessonkoivistorune.se

sasimonokagu takahashi

さしものかぐたかはし

指物師 高橋 雄二が、2010年より広島県の熊野町にてスタートした家具工房。 木の家具や小物のデザインから制作、販売までを一貫して行っており、現在は、スタッフと共に作るオリジナル製品や高橋個人が受注するオーダー家具を中心に制作を行っている。家具作りのほか、敷地内のイベントスペース tetoma では、暮らしにまつわる展示、お話会など各種イベントを行っている。

www.sasimonokagu-takahashi.com

“Hand” Table, bench and stool

Size:
W2400 D1050 H730mm

Material:
栗(広島産) / Chestnut in Hiroshima

Price:
Table ¥640,000
Bench ¥216,000
Stool ¥160,000(+tax / estimated price)