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[Designer]

De Intuïtiefabriek × Woodwork / SOMA :Story2
森から得たインスピレーション。キャビネットのデザインプロセス

岐阜の森、SOMAの工房でのリサーチを経て、ディー イントゥイティファブリックはデザインプロセスへと進んでいる。技術面での可能性を探るだけでなく、日本の建築や木工技術の世界を探求し、彼女たちが岐阜で体験したことを形にするために対話を重ねていく。そこから、言葉やコンセプトが生まれてきたのだった。

「私たちは、木の魂を意味する日本語“木霊(こだま)”という言葉を知り、そしてそれをコンセプトにすることを決めたのです」とエフィエヌは語る。「このコンセプトを中心に、どうやったら木の特徴を活かしたデザインが実現できるかを考えはじめたのです」

“積み重ねる”、”パッチワーク”、”重なり合う”。この三つの考え方が、キャビネットのための最初のデザインコンセプトだった。そこに木の特性をどのように取り入れることができるか。木の皮や年輪、香りなどさまざまな要素をもとに、木と紙でさまざまなタイプのミニチュアのプロトタイプを作る。時間はかけずともコンセプトに忠実であること。よりよいデザインにアップデートしていくために、これらのプロトタイプをもとにディスカッションを行う作業は、デザインする上で最も重要なプロセスだ。SOMAからの技術面での意見を参考にしながら、彼女たちが考えるストーリーを伝えられるようなデザインを実現させていく。

「透けるものと硬いもの、重たいものと繊細なものなど、さまざまな要素を重ね、木と組み合わせていくことが、このデザインの特徴となりました」とエフィエヌは語る。

今回制作するキャビネットに採用したのは日本の杉と美濃和紙の二つの素材で、日本では障子によく使われる組み合わせだ。杉はSOMAの作品にも多く使われているが、時が経つにつれて変化するその独特な香りを持つ素材であることも、採用した理由のひとつにある。そして1300年もの歴史を持つ美濃和紙が、今回訪れた土地、岐阜を象徴する。

さまざまな要素を重ね合わせながら、エフィエヌとエヴァは素材が持つ特性を追求してく。「(障子などにみるように)耐久性を保つために、和紙は木の枠で囲むのが普通だと思いますが、扉のデザインにおいて、私たちはそれとは対照的なアプローチを試みて、和紙の繊細さを表現したのです」とエフィエヌは説明する。そして木枠をつけることなく、扉の端まで木が和紙で覆われた、型破りとも言えるこれまでにないデザインを実現させた。

このキャビネットのためのデザインコンセプト「木霊」。それは彼女たち自身が足を運び、五感で体感した森であり、その存在が大きく影響している。樹皮の質感が残る取っ手の扉をキャビネットの前後につけ、まるで一本の木をぐるりと一周したくなるようなデザインからも感じられる。そして薄い美濃和紙の透け感によって、内側の構造や中に入れたもののシルエットがぼんやりと浮かんでくる。その中を確かめるためにそっと扉を開ける。木の強さや紙の繊細さ。彼女たちがプロセスを重ねて生まれた絶妙なバランスのキャビネットが完成した。

>>Story3に続く

De Intuïtiefabriek

ディー・イントゥイティファブリック

De Intuïtiefabriek(ディー・イントゥイティファブリック)は、2012年にアムステルダムに設立されたデザインスタジオです。磁器やガラス、木材など直感的に素材と技術を駆使してデザインされる彼女たちのプロジェクトは、家具からテーブルウェア、舞台装置に至るまで多岐にわたります。彼女たちにとってデザインとは、クラフトマンシップのことであり、素材の感触であり、ものづくりをする行為そのもの。愛情が感じられる完璧な工芸品をつくることを目指し、ピュアで繊細な感覚から生み出された新しい世界をわたしたちにもたらします。

www.deintuitiefabriek.nl

SOMA

ソマ

針葉樹のプロダクトを中心としたライフスタイルブランド。日本の木工家 川合優をディレクターに、日本古来の木の文化を現代に伝えることを目的に発足。オリジナルプロダクトの販売、ワークショップ、トークショーなど、木の文化にまつわる活動を幅広く行なっている。“SOMA” は、かつて日本の山とともに生きた人々の呼称 “杣(そま)” に由来する。

madebysoma.com

“Ranma” Cabinet

Size:
W1100 H1800 D400 mm

Material:
国産杉、美濃和紙 / Japanese cedar , Japanese “Mino” Paper

Price:
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